ニャースのかきくけこ

ニャースはアニメ、ゲーム界のベンジャミン・フランクリン。

読書メモ:「図説世界を変えた50のビジネス」 ジョン・リプチンスキ

 

こういった選書で必ず出てくる議論、「○○があるのに○○がないのはおかしい」は議論そのものがナンセンスなので触れずに簡単に感想のみ。
タイトルは50の”ビジネス”だが、実際にはそのビジネスを興した、もしくは中核的な役割を担った”人物”がメインである。1人につき見開き2ページだが、右半分は肖像とかのイラストに費やされるので実際の読める分量としては1人1ページだ。よって、内容もそこまで深くは入り込めないのでこれで興味を持った人物を見つけたらさらに別の本を探すのが良い。
私の琴線に触れたのは以下の3人。
最初の工場を設立したリチャード・アークライト。
利益のためなら法も犯し泥棒男爵とまでいわれたジェイ・グルード。
サムスン急成長の立役者、李健ヒ。
それと、大前研一氏も紹介されていて、経歴を見て改めて驚く。とても1人の人生とは思えない。

 

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以下、読書での私的メモ。

 

衣食住という生活に欠かせないものを完全に自給自足している人は、先進国にはほとんどいない。大半の人は、日常生活になくてはならないモノやサービスの供給を企業に頼っている。わたしたちは日々、どんなモノやサービスを買うかの意思決定をしており、そのため必然的に多くの企業と取引をしている。
さらに、先進国では、必需品とはたんに生命をつなぐためのものではなく、生活水準を維持するためのものと見られている。生活水準のベースとなっているのは、社会のほかの集団との関係から、わたしたちが入手可能と期待するものである。この期待が企業に対するさらなる需要を生み、企業は利益を上げるという果てしない欲求を動機として、需要に必死でこたえようとする。
それを実現するためにビジネスにたずさわる者が必ず持っていなければならない大事なスキルがいくつかある。
第1に、製品とサービスを作り出すのに必要な資源の所有権を獲得すること。
第2に、成果物が売れるまで、その資源を財務的に安定した状態で確保すること。
第3に、何をどれだけ生産するかを決め、その生産を効率的に行うために資源を上手に配分すること。事業経営者は資源の別な使い道を常に考えていなければならない。違うものを生産すれば、同じ資産でもっと大きな利益を生み出せるのではないか。
そして第4の、もっとも重要なスキルは、市場の需要と供給が今度どうなっていくかを予測すること。最後にあげたこのスキルをもっているかどうかが、ビジネスマン、ビジネスウーマンの成功と失敗の分かれ目となる。
 
 
リチャード・アークライト 最初の工場を設立
世界初の水力紡績機工場が1771年にダービーシャーのクロムフォードに設立された。(工場制の成立)
 
 
ジェイ・グルード 利益のために法を犯した
 
 
1社または1グループの企業が業界を支配しているとき、技術的進歩は遅れがちになることを示す証拠もある。競争の圧力がないため、独占企業はリスクの高い研究開発に利益を投資する必要を感じないのである。
しかし、独占体制を支持する議論も多数ある。第1に、独占が必ずしも価格上昇や生産高の低下や社会的利益の損失につながるわけではない。むしろ、生産と流通において規模の経済性が実現されるため、社会的利益の向上につながることも多い。
コストの節減が価格の低下という形で消費者に還元される場合もある。業界によっては独占体制によって効率化が進んでいるともいえる。水道、ガス、電気、通信のような業界は「自然独占」とよばれることが多い。効率的に運営できる最低限の規模があまりに大きいため、効率性の高い企業1社のみしか業界に存在できない場合に自然独占が発生する。自然独占では、固定費が総コストの大半を占める。
 
 
李健ヒ 電子機器の品質向上に挑んだ
1987年、父親の死を受け、健ヒはグループを再編し、教育、動機づけ、品質の課題に重点を置くようになった。具体的には、かせぎ頭となりつつあった電子機器事業部に投資した。健ヒには自社を世界市場、とくに半導体事業の有力プレイヤーにしたいという夢があった。
その成果は、1987年から1992年にかけての売上倍増という驚くべき形で表れた。しかし健ヒは成功にあぐらをかくような人物ではなかった。競合企業より先を行く、エレクトロニクス技術の最先端というサムスンのポジションを維持するため、研究開発への投資を増やした。業績不振の事業を売却、縮小したりし、サムスングループをエレクトロニクス、機械、化学の3つの分野に再編した。
 
 
大前研一は設計技術者として日立に勤務したのち、1972年にコンサルティング会社のマッキンゼーに入社し、日本事業に責任を持つシニアパートナーになった。世界の諸産業、グローバル化、国際競争にかんする比類のない知識、経営理論への貢献により、「ミスター・ストラテジー」として世界にその名を知られている。
 
 
垂直統合:企業が供給業社から顧客までの縦のラインの一部を所有すること。
水平統合:企業が同じ生産段階の競合企業と合併すること。