ニャースのかきくけこ

ニャースはアニメ、ゲーム界のベンジャミン・フランクリン。

読書メモ:「スマート・ファクトリー 戦略的『工場マネジメント』の処方箋」 清威人

 

本書によると、スマート・ファクトリーとは、
・工場内のさまざまな機器のネットワーク化
・さまざまな視点による管理ポイントの設置と関連性を持った形でのデータの取得
などを実現することにより、
・工場の多岐にわたる活動情報の見える化
・情報間の因果関係の明確化
ができるようになる。ここまでしてはじめて上記の①への施策の検討ができる。要は、どの部分にどのような在り方で無駄があるのかを詳細に見える化しないと有効な打つ手を考えられず、またその施策でどれだけの効果が見込めるかを推測することもできない。暗中模索で無駄なトライ&エラーを繰り返すのではなく、どんな魚がどこにどれだけいるか明瞭に分かっていてそこにピンポイントで針を落とすような最小の労力で最大の速度で成果を得るためのシステムの話。システム全体の構想がメインで具体的な事例は少なめ。

 
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以下、読書での私的メモ。
 
幹部への質問
Q1
CO2削減の一環として、電力使用量を30%下げなければなりません。では、工場長として、まず、どこから取り組みますか?また、その根拠はありますか?
Q2
ひとつの製品について、最初の部品が納入されてから出荷されるまでのリードタイムはご存知ですか?
 
 
スマート・ファクトリーのコンセプト
工場内のあらゆる機器をつなぎ、神経系を張り巡らせ、すべての情報をリアルタイムで吸い上げ、工場の活動を可視化、すなわち見える化すること。
 
さらに具体的な表現
スマート・ファクトリーとは、
・工場内のさまざまな機器のネットワーク化
・さまざまな視点による管理ポイントの設置と関連性を持った形でのデータの取得
などを実現することにより、
・工場の多岐にわたる活動情報の見える化
・情報間の因果関係の明確化
を図り、必要なアクションを起こせるようにすることで、
・品質管理能力のレベルアップ
・間接部門を含めた管理コスト低減
・CO2削減/省資源
などの改善を、人間の管理限界を超えて実現する、次世代工場経営コンセプト
 
 
機器の制御レベルにおいては、PLCがFA機器を束ねているが、異なるベンダーのPLC間を含め、相互につなぐことが可能となりつつある。この、PLC同士を連携するネットワークを「コントローラ・ネットワーク」という。
また、PLC以下のレベルでの、それぞれの設備機器やデバイス、センサーを相互につなぐ(こちらも異なるベンダー間を含めて)ネットワークを「フィールド・ネットワーク」という。
 
 
一般的に原価は、計画段階で計算された「標準原価」と、実際に製造してみたときにかかった費用から計算される「実際原価」の二つに大別され、管理される。
 
 
チェンジ・マネジメント
何か変化を起こす際に、ものごとをスムーズに運ぶための手法
多くの人は変化を好まず、変革に対して抵抗するのが常である。そうした抵抗を、心理学的なアプロートを踏まえて最小限にするのがこの手法の目的である。
チェンジ・アクセプタンス・カーブ(=変化を受け入れるまでの心理的なステップ)
 変化を知らない
 変化を知る
 変化の内容を理解する
 試してみる
 習得する
 
 
産業用Ethernet
インターネットやe-Mailでは許容される数秒単位の通信の遅れが、工場の機器の場合には致命的な遅れとなり、不良品の発生や事故につながる危険性もある。
そのため工場内のEthernetには、一般のEthernetでは満たされていないリアルタイム性が要求される。すなわち「ある一定時間内に、必ず通信できること」である。さらに、工場内の粉塵や電気的なノイズに対する耐環境性も要求される。それらの条件を満たすEthernetを既存のEthernetと区別するため、ここでは「産業用Ethernet」と呼ぶことにする。
産業用Ethernetの代表的なものとしては、Ethernet/IP、CC-Link IE、Modbus TCP/IP、PROFINETなどがある。
 

読書メモ:「たかが英語!」 三木谷浩史

 

たかが英語!

たかが英語!

  • 作者:三木谷 浩史
  • 発売日: 2012/06/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

英語の習得は筋力トレーニングに似ているというのはわかりやすい表現だ。どちらも適切な頻度で適切な負荷を維持しなければならない。楽天が社内公用語を英語化すると発表した時、自分もニュースで見て驚いた記憶があるが、その後すっかり忘れてしまっていた。本書で英語化の宣言から移行期間の2年間に取り組んだこと、段階的に切り換えるといった会社の効率性低下を抑制するための運用への気遣い、そして宣言通り英語化した今、楽天が感じているメリットについて興味深く読んだ。自分の会社はまだまだそんな兆しはないけど、個人レベルではいいかげん英語ひとつも使えないのはまずいんじゃ、と内心焦りはじめてきたところだ。そんな心境の自分にはまさにうってつけのタイミングで読んだ本で、楽天社員を見習って英語の勉強を開始することにした。2020年いちばん最初に読んだ本がこれでよかった。

 

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以下、読書での私的メモ。

 

英語学習は筋肉トレーニングに似ているかもしれない。筋肉に与える負荷が小さすぎると訓練にならないし、逆に大きすぎると、肉離れを起こしてしまう。軽すぎず、重すぎもしない重量のものを使って繰り返しトレーニングしたときに最も高価が出る。英語学習も、簡単すぎず、かつ、難しすぎない教材選び、学校選びが大切だ。
 
 
英語だけできても無能な政治家や仕事のできないビジネスマンは多くいる。ただ一方で、ビジネスセンスのある人は元々英語を勉強している人が多い。また、仕事ができる人はタイムマネージメントもしっかりしているし、地頭が良かったり、ロジカルだったりすることが多いので、いままで英語はやってなくても、英語を集中して勉強してもらい、使う環境に置いてやればできてしまう。また、学生時代などに何かに集中して何かしらやり遂げてきた経験のある人ほど、英語の習得が早かったりする。
 
 
結論を持たないとビジネス上の会話はできない。英語で話すことで文法構成上も、より自然とそうしたスタイルとなるだろう。ビジネス上の会話だと、簡潔さや論理性が求められるが、日本語だとどうしても曖昧になってしまう傾向があった。
しかし、実際に英語に切り替えることで、社員たちは、ビジネス会話における日本語の曖昧な部分を、あらためて認識したという。英語に限らないのだろうが、外国語の習得は、母語を見つめ直すきっかけにもなる。
僕は、外国語を操ることによって、発想を豊かにする効果があると考えている。サピア=ウォーフの仮説(言語的相対論)という有名な学説がある。ある部族が使う言語には、青と緑を区別する言葉がないという。そんな彼らに青と緑を見せると、同じ言葉で表現する。僕らはすぐに青と緑を識別できるが、彼らはまったくできないわけではないが、識別に時間がかかる。このことからわかるのは、概念が言語によって規定されているということだ。概念は言語に縛られていると言ってもかまわない。
そうであるなら言語を切り替えることによって、概念を多面的に捉えることができるだろう。外国語を使うことで、自分の頭にある概念を疑い、別の角度から検討しやすくなる。それは新しいオリジナルなビジネスを生み出す上でも、必ず役に立つと思う。

 

読書メモ:「図説世界を変えた50のビジネス」 ジョン・リプチンスキ

 

こういった選書で必ず出てくる議論、「○○があるのに○○がないのはおかしい」は議論そのものがナンセンスなので触れずに簡単に感想のみ。
タイトルは50の”ビジネス”だが、実際にはそのビジネスを興した、もしくは中核的な役割を担った”人物”がメインである。1人につき見開き2ページだが、右半分は肖像とかのイラストに費やされるので実際の読める分量としては1人1ページだ。よって、内容もそこまで深くは入り込めないのでこれで興味を持った人物を見つけたらさらに別の本を探すのが良い。
私の琴線に触れたのは以下の3人。
最初の工場を設立したリチャード・アークライト。
利益のためなら法も犯し泥棒男爵とまでいわれたジェイ・グルード。
サムスン急成長の立役者、李健ヒ。
それと、大前研一氏も紹介されていて、経歴を見て改めて驚く。とても1人の人生とは思えない。

 

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以下、読書での私的メモ。

 

衣食住という生活に欠かせないものを完全に自給自足している人は、先進国にはほとんどいない。大半の人は、日常生活になくてはならないモノやサービスの供給を企業に頼っている。わたしたちは日々、どんなモノやサービスを買うかの意思決定をしており、そのため必然的に多くの企業と取引をしている。
さらに、先進国では、必需品とはたんに生命をつなぐためのものではなく、生活水準を維持するためのものと見られている。生活水準のベースとなっているのは、社会のほかの集団との関係から、わたしたちが入手可能と期待するものである。この期待が企業に対するさらなる需要を生み、企業は利益を上げるという果てしない欲求を動機として、需要に必死でこたえようとする。
それを実現するためにビジネスにたずさわる者が必ず持っていなければならない大事なスキルがいくつかある。
第1に、製品とサービスを作り出すのに必要な資源の所有権を獲得すること。
第2に、成果物が売れるまで、その資源を財務的に安定した状態で確保すること。
第3に、何をどれだけ生産するかを決め、その生産を効率的に行うために資源を上手に配分すること。事業経営者は資源の別な使い道を常に考えていなければならない。違うものを生産すれば、同じ資産でもっと大きな利益を生み出せるのではないか。
そして第4の、もっとも重要なスキルは、市場の需要と供給が今度どうなっていくかを予測すること。最後にあげたこのスキルをもっているかどうかが、ビジネスマン、ビジネスウーマンの成功と失敗の分かれ目となる。
 
 
リチャード・アークライト 最初の工場を設立
世界初の水力紡績機工場が1771年にダービーシャーのクロムフォードに設立された。(工場制の成立)
 
 
ジェイ・グルード 利益のために法を犯した
 
 
1社または1グループの企業が業界を支配しているとき、技術的進歩は遅れがちになることを示す証拠もある。競争の圧力がないため、独占企業はリスクの高い研究開発に利益を投資する必要を感じないのである。
しかし、独占体制を支持する議論も多数ある。第1に、独占が必ずしも価格上昇や生産高の低下や社会的利益の損失につながるわけではない。むしろ、生産と流通において規模の経済性が実現されるため、社会的利益の向上につながることも多い。
コストの節減が価格の低下という形で消費者に還元される場合もある。業界によっては独占体制によって効率化が進んでいるともいえる。水道、ガス、電気、通信のような業界は「自然独占」とよばれることが多い。効率的に運営できる最低限の規模があまりに大きいため、効率性の高い企業1社のみしか業界に存在できない場合に自然独占が発生する。自然独占では、固定費が総コストの大半を占める。
 
 
李健ヒ 電子機器の品質向上に挑んだ
1987年、父親の死を受け、健ヒはグループを再編し、教育、動機づけ、品質の課題に重点を置くようになった。具体的には、かせぎ頭となりつつあった電子機器事業部に投資した。健ヒには自社を世界市場、とくに半導体事業の有力プレイヤーにしたいという夢があった。
その成果は、1987年から1992年にかけての売上倍増という驚くべき形で表れた。しかし健ヒは成功にあぐらをかくような人物ではなかった。競合企業より先を行く、エレクトロニクス技術の最先端というサムスンのポジションを維持するため、研究開発への投資を増やした。業績不振の事業を売却、縮小したりし、サムスングループをエレクトロニクス、機械、化学の3つの分野に再編した。
 
 
大前研一は設計技術者として日立に勤務したのち、1972年にコンサルティング会社のマッキンゼーに入社し、日本事業に責任を持つシニアパートナーになった。世界の諸産業、グローバル化、国際競争にかんする比類のない知識、経営理論への貢献により、「ミスター・ストラテジー」として世界にその名を知られている。
 
 
垂直統合:企業が供給業社から顧客までの縦のラインの一部を所有すること。
水平統合:企業が同じ生産段階の競合企業と合併すること。