飛行機はなぜ飛ぶのか?の間違った説明
流れのふしぎ―遊んでわかる流体力学のABC (ブルーバックス)
- 作者: 石綿良三,根本光正,日本機械学会流体
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/08/19
- メディア: 新書
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今日、こんな本を読んだ。流体の現象について難しい数式を一切使わずにペットボトルやストローなど
身近にある素材を使って実験的に現象がなぜ起きるのかを学べる本。
この本のp168-169にコラム「間違えられている翼の原理」として以下のような記載があった。
間違った説明
”翼は湾曲しているので、翼の上面に沿って流れている流れの方が、下面に沿って流れている
流れよりも距離が長くなります。通過時間が同じで移動距離が長いのですから、
上面の方が早く流れることになり、ベルヌーイの定理から圧力は低くなります。
逆に、下面では流れが遅く、圧力は高くなります。
両者の圧力差から上向きの力、つまり揚力が働くのです。”
(参考図)
これを一旦、ベルヌーイの定理説とする。参考図に示したように、飛行機の主翼の多くは
先端から1/3程度の部分に最大厚さがくるようにつくってあり、絵の上側の方が角度が大きくついている。
参考図の赤丸で示した部分への”通過時間が同じ”という部分に関して、間違いだと指摘しているようだ。
私は以前に読んだ別の本でこのように学んでいたので、それが違ったというのは衝撃だった。
著者は、この説が間違っている理由として、同書に出てくる別の実験である厚紙でつくった帆のヨットを
例に挙げている。厚紙のような薄く、流れの両側に勾配を持たない翼では、上記の理屈では非常に小さな
揚力しか得ることができないことになるが、実際にはそんなことはない為と説明する。
では、どのような説明が正しいかというと、本書には他に2つの記述がある。
それが流線曲率の定理と作用・反作用の力による説明だ。
参考図の翼の上側では、気流は翼の最大厚さの部分を過ぎた後、そこからまっすぐ平行に流れるのでもなく、
また翼の先端から最大厚さまでの立ち上がり角を保ったまま翼から離れていくのでもなく、
コアンダ効果というものによって、逆に翼の表面に沿うようにして流れていく。
(図で最大厚さ部以降は後端まで右下がりになっているが、それに沿っている。)
また、翼の下側では翼表面によって物理的に(強制的に)気流が下向きに流れる。
これにより、翼の上側・下側どちらとも気流は「下向き」に流れるので、反作用で上向きに揚力が得られる。
・・・というような記述で説明されている。
(1)ベルヌーイの定理
(2)流線曲率の定理
(3)作用・反作用による力
おそらく、どれが1つが正解で他は間違いというのではなくて、いずれもが関わりあっているのだろうと
思うけど、なかなか「これ」と回答できるものが見つからず、難しい。
ちなみにYoutubeで見つけたJALの学習動画には、上側:流れが早い、下側:遅いことが
圧力差を生むと説明されていました。
もう少し調べてみるかな・・・。