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読書メモ:「たかが英語!」 三木谷浩史

 

たかが英語!

たかが英語!

  • 作者:三木谷 浩史
  • 発売日: 2012/06/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

英語の習得は筋力トレーニングに似ているというのはわかりやすい表現だ。どちらも適切な頻度で適切な負荷を維持しなければならない。楽天が社内公用語を英語化すると発表した時、自分もニュースで見て驚いた記憶があるが、その後すっかり忘れてしまっていた。本書で英語化の宣言から移行期間の2年間に取り組んだこと、段階的に切り換えるといった会社の効率性低下を抑制するための運用への気遣い、そして宣言通り英語化した今、楽天が感じているメリットについて興味深く読んだ。自分の会社はまだまだそんな兆しはないけど、個人レベルではいいかげん英語ひとつも使えないのはまずいんじゃ、と内心焦りはじめてきたところだ。そんな心境の自分にはまさにうってつけのタイミングで読んだ本で、楽天社員を見習って英語の勉強を開始することにした。2020年いちばん最初に読んだ本がこれでよかった。

 

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以下、読書での私的メモ。

 

英語学習は筋肉トレーニングに似ているかもしれない。筋肉に与える負荷が小さすぎると訓練にならないし、逆に大きすぎると、肉離れを起こしてしまう。軽すぎず、重すぎもしない重量のものを使って繰り返しトレーニングしたときに最も高価が出る。英語学習も、簡単すぎず、かつ、難しすぎない教材選び、学校選びが大切だ。
 
 
英語だけできても無能な政治家や仕事のできないビジネスマンは多くいる。ただ一方で、ビジネスセンスのある人は元々英語を勉強している人が多い。また、仕事ができる人はタイムマネージメントもしっかりしているし、地頭が良かったり、ロジカルだったりすることが多いので、いままで英語はやってなくても、英語を集中して勉強してもらい、使う環境に置いてやればできてしまう。また、学生時代などに何かに集中して何かしらやり遂げてきた経験のある人ほど、英語の習得が早かったりする。
 
 
結論を持たないとビジネス上の会話はできない。英語で話すことで文法構成上も、より自然とそうしたスタイルとなるだろう。ビジネス上の会話だと、簡潔さや論理性が求められるが、日本語だとどうしても曖昧になってしまう傾向があった。
しかし、実際に英語に切り替えることで、社員たちは、ビジネス会話における日本語の曖昧な部分を、あらためて認識したという。英語に限らないのだろうが、外国語の習得は、母語を見つめ直すきっかけにもなる。
僕は、外国語を操ることによって、発想を豊かにする効果があると考えている。サピア=ウォーフの仮説(言語的相対論)という有名な学説がある。ある部族が使う言語には、青と緑を区別する言葉がないという。そんな彼らに青と緑を見せると、同じ言葉で表現する。僕らはすぐに青と緑を識別できるが、彼らはまったくできないわけではないが、識別に時間がかかる。このことからわかるのは、概念が言語によって規定されているということだ。概念は言語に縛られていると言ってもかまわない。
そうであるなら言語を切り替えることによって、概念を多面的に捉えることができるだろう。外国語を使うことで、自分の頭にある概念を疑い、別の角度から検討しやすくなる。それは新しいオリジナルなビジネスを生み出す上でも、必ず役に立つと思う。