ニャースのかきくけこ

ニャースはアニメ、ゲーム界のベンジャミン・フランクリン。

2020年2月に読んだ本

2020年2月に読んだ本

 

1.

見開きを右から使う論理のネタ帳が腐葉土になって自分だけの感覚とかアイデアを発信できるようになるっていう著者の主張は面白かった。確かに右から書くと左が”もったいない”気になって何か埋めようと無意識に考えてしまう。
それと、5行日記とそれを採点するってのも面白いアイデアだった。著者曰く、採点をすることで高い点を取ろうとするのではなく、日常の行動の選択で脳が無意識に低い点を避けようとする、という一見同じように感じるけど実はかなり違うこういった現象が起きるってのは興味深い。ぼく自身は日記は2011年から欠かさずエバーノートに買いているけど、それは自由記述形式で特筆すべきことがあれば長文になるし、逆はあっさりしたものになる。せっかく縁あって読んだ本でもあるので、この5行日記と採点を取り入れてみることにした。1ヶ月ほど試してみよう。
さらにおまけで、悩みのジャグリングてのは言い得て妙だと思う。著者がオリジナルなのだろうか?カーネギーが自殺を考えていたくだりは出展何だろう?

 

 

2.

ピクサーの「トイ・ストーリー」発表前の黎明期からディズニーへの株式売却までの物語。著者はまだ1作の長編映画も公開しておらず、世間的には得体の知れないベンチャーだった時期にスティージョブズに誘われ、当時のピクサーの古びた試写室で見た製作途中のトイ・ストーリーが持つ可能性に魅入られ、最高財務責任者を務めたローレンス・レビー氏。どれだけ映画界におけるイノベーションの可能性があったとしても、当時のディズニーとの契約内容を精査すれば、コンピュータアニメーション1作にかかる費用と時間からしてビジネス的に成功が厳しいかと、その会社に転職するのがいかに無謀なチャレンジだったかがよく分かったはずだ。聡明な著者も十分にそれについては認識していたが、それでもピクサーがチャレンジしていることと、クリエイティブなチームの可能性を信じて入社した。ジョブズも著者も、会社のトップではあったが、クリエイティブ面にはまったくといっていいほど干渉しておらず、どうやって魔法のような映画が生まれたかは記述が少ないが、勝ち筋が見えないビジネスを離陸させるために何を考え、行動してきたかは非常に参考になった。

 

 

3.

今日からモノ知りシリーズの中では一読では理解が難しい部類だ。文章での概要説明の簡易さと本文中に掲載される数式の難易度がマッチしていないように感じる。その数式がどこからきたのか把握しようとして入り込むと時間ばかりかかって得るものが少ないように感じたので自分は読み飛ばした。「竹は最新の繊維複合素材」というコラムと爆発圧着、クリープ現象の説明は得るところが大きかった。その他、内容そのものには直結しないが、誤字が多い。自分が買ったのが初版4刷で発行後7年が経っているけど・・。あまりに多いと中身そのものさえ正確さに欠けると感じる。

 

 

4.

著者から読者(主にものづくり企業の幹部)に対しての2つの問いかけが印象に残った。
質問①「CO2削減の一環として、電力使用量を30%下げなければなりません。では、工場長として、まず、どこから取り組みますか?また、その根拠はありますか?」
質問②「ひとつの製品について、最初の部品が納入されてから出荷されるまでのリードタイムをご存知ですか?」
上記の内②は仮に即答できなかったとしても調べればわかるが、①は各社の個別事情があって一律の明確な答えというのがなく、またその答えを持っていたとしてもそれが本当に正しいのかは非常に判断が難しい。

本書によると、スマート・ファクトリーとは、
・工場内のさまざまな機器のネットワーク化
・さまざまな視点による管理ポイントの設置と関連性を持った形でのデータの取得
などを実現することにより、
・工場の多岐にわたる活動情報の見える化
・情報間の因果関係の明確化
ができるようになる。ここまでしてはじめて上記の①への施策の検討ができる。要は、どの部分にどのような在り方で無駄があるのかを詳細に見える化しないと有効な打つ手を考えられず、またその施策でどれだけの効果が見込めるかを推測することもできない。暗中模索で無駄なトライ&エラーを繰り返すのではなく、どんな魚がどこにどれだけいるか明瞭に分かっていてそこにピンポイントで針を落とすような最小の労力で最大の速度で成果を得るためのシステムの話。システム全体の構想がメインで具体的な事例は少なめ。

 

5.

プレス加工の知識が仕事で必要になったので3冊買った内のまず最初に読んだ1冊。今日からモノ知りシリーズは他にもたくさん持っているけど、これは中でも特に良書だと思う。塑性変形の材料物性の話から、曲げや絞りなど色々な種類があるプレスについて、プレス後の加工油除去やバリ取りのためのバレル研磨とプレスに携わるにあたって必要な知識の概観がざっと確認できる。実際の企業でのプレス工程がどうあるかも逐次触れられているので学術的すぎない点も良かった。単工程と順送りについても図や写真が豊富で理解がしやすい。コラムもすべておもしろくて、1950年代は金型をつくる工作機械が発達していなくて、ヤスリで加工する名人が各金型企業にいたというのも感心してしまった。入門書として最適な本だ。

 

・・・ということで2月は5冊。最近停滞気味だった読書熱が再熱してきた。手当たり次第に読むっていうよりも、ある程度ジャンルは絞っていてそれに沿ったものを学んでいく感じ。

QC検定1級の試験がコロナウィルスで中止になって勉強を途中で終了したのも読書時間が伸びた要因かも。