ニャースのかきくけこ

ニャースはアニメ、ゲーム界のベンジャミン・フランクリン。

2018年4月に読んだ本

2018年4月に読んだ本

 

1.

いくつか印象に残った事項を挙げておく。
・まずまずの企業をすばらしい価格で買うより、すばらしい企業をまずまずの価格で買うことの方が遥かに良い
・10年経った時、どんなアプリケーションソフトメーカーよりアイスクリーム企業の方が生き残っている可能性が高い
・失敗した場合でもその経緯を説明できるようにしておく。つまり、自分が完全に理解できることしかしない
・『なぜ自分は現在の価格でこの会社を買収するのか』という題で一本の小論文を書けないようなら、100株を買うこともやめたほうがいい
・ベン・グレアムを知る人は多いのに、彼の理論を実行に移す人は少ない。どうしてでしょうね
結局、ウォーレン・バフェットの成功の要諦とは、
道を逸れずに理論や築き上げた信念に忠実であり続けること、なのかなと感じた。
本書ではしばしば対比としてウォール街が登場するが、トッププレイヤーや実践手法が時代で移ろい、情報が目まぐるしく飛び交うのではなく、オマハの環境やバフェット氏の投資理論はずっとベン・グレアムに学んだことを実践し続けている。長い投資人生の中で、最初に学んだ理論に自分なりのアレンジを加えたり、参考にできない部分は一部取捨選択することなどはあるが、原型が壊れるほどの改変はなく、核となる投資理論は不変である。
ただ、変えないだけでなく、それを実践し続けるには周囲のノイズに惑わされない強い信念が不可欠である。膨大な読書と師と仰ぐ人物と共に実際に働いた経験がそれ養成したのだろう。
確固たる理論を学ぶ、もしくは形成することと、それを実行し続ける勇気を学んだ。

 

 

2.

Audibleで行き帰りの通勤時に車で聴いた。確かに著者の言う通り、お金の流れから世界史を見てみると、それまではスポットライトの当たることが少なかった出来事や通説とされている事件の裏側、なぜその通説が起きるに至ったかを垣間見ることができて面白かった。古代エジプトが栄えたのは国の徴税システムが優れていたからでそこから派生して生まれたのがユークリッド幾何学であるという話や、最近小学館で何かと話題になったチンギス・カンモンゴル帝国を破竹の勢いで拡大できた経済・宗教的背景や、エリザベス1世が海賊を利用して国に富を蓄えたとされる裏話など興味深い歴史史実の断片を知れた。
また、ブレトン=ウッズ体制、ひとつの国の通貨を世界基準とすることの本質的な矛盾などについても詳説されており、単なる歴史本としではなく経済を学ぶ上でも参考になると思った。

 

 

3.

図解 危険物施設基準の早わかり〈1〉

図解 危険物施設基準の早わかり〈1〉

 

変更工事と仮使用の組み合わせパターンの例の掲載が非常に参考になった。一つの工事において、先に完成した部分の完成検査を受け仮使用とする部分を拡張していく申請の方法など、そんなやり方も考えてよいのか!と目から鱗だった。当然、あまりにトリッキーなことをする場合は、所轄の消防と事前相談や確認を十分行って合意を得ておく必要はあるが、考え方の提示の部分で大いに役立った。また、東京消防庁監修ということで内容には一定の信頼もある。 

 

 

4.

現時点までの「ロボット」という技術、概念、機器について非常に網羅的に述べられている。工場の生産ラインで活躍する産業用ロボット、PepperやAIBOなどコミュニケーションロボット、それから農機や建設機械といった重機系ロボット等広い範囲での成り立ちや最新の動向がこれ1冊で伺い知ることができる。さらに駆動系やセンサも主だったものは概要をさっと知ることができるので本当に買って良かったと思う。
世界の4大メーカーに日本の会社が2社含まれているのは誇らしい。しかし、産業用以外では海外勢の後塵を拝している状況もよくわかった。生産人口が減っていくこれからの日本では、今まで以上により上手にロボットを活用、育てていくことが必須。
包摂アーキテクチャ、深海探査ロボット「うらしま」、バイオミメティクスは今回この本ではじめて知った。

 

 

5.

化学防災読本: 化学災害からどう身を守るか (プロブレムQ&A)

化学防災読本: 化学災害からどう身を守るか (プロブレムQ&A)

 

この本の購入を検討している方はまず、著者が定義する「化学災害」の意味の正しく理解しておく必要がある。この本が指す化学災害とは、コンビナートや化学プラントといった大規模な工場で聞き馴染みのない危険物が引き起こす事故だけではなく、もっと広く例えば住宅街に隣接する小さな町工場で起きる火災や、場合によっては普通の一般住宅の火災までを含む。
日々の生活の中で危険物などには触れない一般市民でも、例えば糸魚川の大火災や韓国のガス自殺未遂など予期せぬ化学災害に巻き込まれる可能性はあり、それらを自衛・被害を最小に抑えるためにどうすべきか、ということを示唆する。なので対象読者は非常に幅広い。一方で、危険物や高圧ガスを扱う仕事をしていて、ピンポイントで業務に役立つ災害予防の知識を求める方には肩透かしとなる。
掲載されている数値データの出典が都度本文中に示されているのは良かった。全国に危険物施設がコンビニの店舗数の7.6倍もあるというのは非常に驚いた。それから、化学防災のハザードマップが住民が自助で作成せよ、との提言はおったまげた。

 

 

6.

エリザベート (ビジュアル選書)

エリザベート (ビジュアル選書)

 

図書館で目に付いたので一気に読んだ。だけどなぜエリザベートが現代においてなお人気があるのかよく分からなかった。夫で皇帝でもあるフランツ・ヨーゼフが不憫でならない。人は誰しも、身分の貴賎を問わず天から与えられた役割があるが、エリザベートはとうとう最期までそれを実行することはなかった。
文通での「まだかくれんぼうを続けるつもりですか。もう戯れは終わりにしましょう」の余韻がずっと心に残った。 

 

 

7.

198Xメモリーズ、ミニ四駆、コロコロ創刊伝説を読んだ。創刊伝説は一挙2話掲載でひかわ博一氏の「星のカービィ」の秘話回だった。しんぼ氏の元アシスタントで、自身はハゲ丸の連載終了以降次のヒットが出ずに、生活的にも困窮していくなか、元弟子のひかわ氏がカービィを大ヒットさせて当時のコロコロの稼ぎ頭になっていく対比は平家物語的な悲しさがある。ひかわ氏に借金を申し込んだところとか、人間的にふつうは人に見せたくない弱い部分も漫画にしてオープンにできる態度は凄いと思う。時間薬も当然あるかもだけど。
それはさておき、ヤマザキの連載もう終わったのかな?ずっと待ってるんだけど・・。

 

 

8.

女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル (朝日新書)
 

Audibleでオーディオブックとして聞いた。風俗産業ではたらく若い女性への丹念な取材から浮かび上がった実態、風俗を選んだ理由のルポ。やはり多いのはお金を稼ぐ必要に迫られてのことだが、日本学生支援機構奨学金返済に苦しむ大学生がいかに多いかということに驚かされた。時給1,000円前後のアルバイトだと多大な時間を吸い取られ肝心の勉学に励む時間が残らない、苦慮した末に出した結論が風俗だった、という仕方なく一時的にはたらく女性が多かった。その他、成人の女性や男子学生、単純に風俗産業に興味があったという女子大生や、家族に満たされなかった自己承認欲求を癒やすために風俗ではたらく人なんかも登場する。
現在、風俗は応募者が非常に多く、身だしなみが悪いと面接にパスできないというのがこの本でいちばんの驚きだった。

 

9.

決定版 宇宙がまるごとわかる本

決定版 宇宙がまるごとわかる本

 

全体の頁数は約130とそれほどボリュームがある訳ではないが、触れられている範囲が太陽系の天体それぞれからアメリカとソ連、日本の宇宙開発の歴史など幅広いのと、カラー写真が豊富に掲載されているので読み応えはある。基礎の全体をまず俯瞰したかったのでちょうど良い本に出会えれた。
惑星探索機ニューホライズンズが冥王星の観察を後にして次なる目的地エッジワース・カイパーベルトに向かっているという話と、みずがめ座近傍の赤色矮星トラピスト1にハビタブルゾーンに入る岩石惑星が3つもあるというのはまだまだ知らない未知の宇宙の姿に素直にワクワクする。宇宙の途方もない大きさと、地球という星を飛び出して観測、採取を行なおうとする人間の技術力に得も言われぬ感情になる。自分が生きている間にさらにもっとたくさんの発見が観測によって成されることを期待する。

 

 

・・・ということで4月は以上の計9冊。(内2冊がオーディオブック)

今月のMVPはウォーレンバフェット成功の名語録。バフェット本はどれも外れがない。

ウォール街から遠く離れたオマハで継続して投資で成功・成長を続ける賢人の言葉には誰しもが耳を傾けなければならない。

ソロモン・ブラザーズの会長就任時に立て直しのためにどのような施策を行ったかということをもっと知りたいと思った。