ニャースのかきくけこ

ニャースはアニメ、ゲーム界のベンジャミン・フランクリン。

2017年6月に読んだ本

2017年6月に読んだ本の感想

 

1.

ロスチャイルド家 (講談社現代新書)

ロスチャイルド家 (講談社現代新書)

 

 ロスチャイルド家の誕生から繁栄、そして現在に至るまでを描いた一冊。

事前知識は、ユダヤ系で桁外れの資産を保有していること、金融業で財を成したこと、それと広範な世界ネットワークを駆使して裏で世界の行方に寄与できる力があること(3つ目は勝手な推測)。
この3つ目の考えは、よく噂されるいわゆるユダヤ陰謀説から芽生えた意識が発展したものだと思う。

本書は、日本でこのような間違った認識が流布された経緯(シオン長老の議定書)についてもしっかり記述されていて、なんだかよくわからないことに対する勝手な思い込みを修正してくれる。
よくわからないこと、人はたとえそれが現実から飛躍されたフィクションであっても、信じてしまうのかもしれない。

父の遺言で一族同士は決して争ってはいけないのに、ワインをめぐっては激しくぶつかったり、財力を駆使して世界中にプラントハンターを送っては園芸で新種や改良に生涯を捧げた人までいて登場人物がいずれもおもしろい。
机上で数字ばかりを追っているのではなく、遠く離れた場所から指示を与えて状況を動かしているのでもなく、戦争や革命での事態が大きく動く時には渦中にいて巻き込まれもするし、時には大胆すぎる賭けの行動に出ることもあって、ロスチャイルド家というのがどのようにして現在に至るまで生き残ってきたかがよくわかった。

 

 

2. 

「流体工学」のキホン (イチバンやさしい理工系)

「流体工学」のキホン (イチバンやさしい理工系)

 

難しい理論式はほとんどなく、現象についての平易な説明が大半。
見開き構成で左が文章、右が図説となっていてわかりやすい。
さらっと読みたい時は右側の図説を読んでいるだけでもある程度把握できる
ぼくが求めていた内容そのもの(高圧エアによる洗浄)の知見は
あまり得られなかったが、自動車や航空機の設計で行うスケールモデル実験
レイノルズ数を合わせた縮尺モデル)が写真入りで掲載されていて
とても参考になった。
流体を勉強する時、最初に読むにはうってつけの本。

 

 

3.

ヨーロッパのドボクを見に行こう

ヨーロッパのドボクを見に行こう

 

 本書での「ドボク」の定義は、”土木構造物のみならず産業施設や建築物も含めた社会基盤として捉えられる対象物全般”とのこと。
つまり対象とする範囲が非常に広い。欧州(と言ってもフランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、スイスの5ヶ国)それぞれお国柄が現れるというインフラを紹介する本。
こういったインフラ物そのものを観光対象とする視点の方は珍しく、それだけにおもしろい。

特に興味を持ったのは、以下の3つ。
ギュスターヴ・フローベール橋(ルーアンの巨大可動橋)
バケットホイールエクスカベーター(ドイツの世界最大級の自走式重機)
*ロンキエール・インクライン(ベルギーにある船のエレベータ)
そのスケールの大きさにただ圧倒するばかり。世界にはすごいことを考える人がいて、またそれを実現するのはさらにすごいと溜め息が出る。

 

 

4. 

乱流と渦 ~日常に潜む不連続な”魔の流れ”~ (知りたい!サイエンス)

乱流と渦 ~日常に潜む不連続な”魔の流れ”~ (知りたい!サイエンス)

 

 数式をほとんど使わずに流体の事象を説明している本。
気象(雲の種類や台風)と航空機が空を飛ぶ仕組みについて
の記述が特に豊富。

なぜ冬の夜空は星のまたたきが大きく見えるのか?
なぜ台風は季節によって進路が違うのか?
など以前にどこかで聞いたことがあるような朧げな知識を
改めてしっかり学ぶことができた。
飛行機に関しては実際の気象事例による事故なんかも多く
紹介されていて、偶然できた自然の猛威に驚くとともに、
それを予測する術が流体工学なので回避するために
前例から勉強することが重要だと思った。

本のあるところで、「飛行機を操縦していたら〜〜の
ようなことがあるが」というような、記述がいくつか
目立って、著者はパイロットなのかと思ったが
経歴をみると出版社勤務から独立したライターのようだ。
実際に経験があるような語り口なのでその点が少し気になった。

 

 

5.

はじめての集じん技術

はじめての集じん技術

 

 「集塵」操作の基礎的なことについて知りたくて、
技術書を探したものの、かなり昔に書かれた本しかなく、
2013年初版の本書はそれだけで珍しく貴重。

「はじめに」の本書の流れ図が特に親切で、読者が
何を求めているか、それを得るためにどこを参照すれば
よいかが概ね示されていてこのような図示的な目次は
あまりみないが大変わかりやすい。

第3章 集じん装置の分類と選定 が非常に参考になった。
各集じん装置の概要(重力、遠心力、電気、慣性力、洗浄
集じん)の説明と、p40の実用範囲一覧は今後の仕事に
おいても活用できそう。

ガスの吸引法で直接/間接とあって、後者には多種多様の
フード形状があって、それらの分類と内訳も勉強になった。

今回の目的は基礎的なところを知りたいのが第一だったので
数式とかはほとんどスルーしてしまったけど、それでも
参考になる箇所が多くとても助かった。

 

 

6.

噴流工学-基礎と応用

噴流工学-基礎と応用

 

 ”速度をもった流体が小孔(スリット、ノズル)から
空間中に噴出する現象、いわゆる噴流現象”
に特化した技術書自体が他にないので、それだけでまず貴重。
図書館で探したけど置いていなかったので、ネット通販で購入。

前半(基礎)部分の自由噴流、壁面噴流、衝突噴流の
記述が非常に参考になった。
それと仮想原点という考え方も知らなかったので勉強になった。
試しに私が測定した丸孔の超音速ノズルを用いた流速プロットで、図3-12 三次元円形乱流自由噴流の無次元速度分布 u/(um) - y/(b(1/2))をグラフを描いてみたけど、本書のような直線にはならず、横軸がある程度以上大きくなると反比例するような結果になった。(原因は未だ不明、考察中。)

あと、細かなことだけど、図3-3のグラフのポイントがおかしい。Q値のいちばん小さいプロットがx最大のものとなっていないので。

まだまだ本書を理解していない部分も多くて、読み応えもあるので、あと1ヶ月近くは繰り返し読むかも。

 

 

先月は以上6冊。目標を10冊と掲げたけど届かず・・・。

7月はQC検定の勉強を始めるので少し減らして8冊を目標!