2018年6月に読んだ本
2018年6月に読んだ本
1.
新書だが内容は濃い。ざっくり分けると、前半はロケット開発の歴史としてフォン・ブラウンやアポロを成功に導いた技術者の舞台裏。中盤は地球外生命体の探査。後半が地球の今後の予測や宇宙への植民など未来がどうなるかについて。
ロケット開発史は、コロリョフらのスプートニク1世界初の打ち上げ成功の話が、まるで自分もその場に参加しているかのように情景がよくみえて面白かった。その分、フォン・ブラウンの悔しさも痛いほどわかる。
地球外生命探査は、その探し方というのが、直接生命体と相対するだけではなく、交信やDNA解析などむしろ直接的に視覚するという方法ではなく、見つかるとしたら他の方法だというのは目から鱗だった。何光年先といった宇宙の壮大なスケールの元では、電波すら「遅い」と感じてしまう。
2.
史上最強のCEO イーロン・マスクの戦い (PHPビジネス新書)
- 作者: 竹内一正
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2015/02/19
- メディア: 新書
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ロケットの打ち上げコストを10分の1にする、これはもう実現できていることをNASA自身が計算をして証明されていた。イーロン・マスクはコストや実現時期の点において、まずホラを吹くというか高すぎる目標を掲げるので、後になってそれはもう実現済みなのか計画遅れで継続中なのかが今まで分からない部分があったが、本書によって氏の凄さを改めて知った。当然マスク氏がすべての技術開発を行なった訳ではないが、優秀な技術者に新しいビジョンを示し未踏の地へ強力に推進していくリーダーシップは現代人類の中で突出している。
ドラゴンV2のエンジンは3Dプリンターで作られた話や、超高額であったPICAを内製化した話、テスラ車の販売後のトラブルをリコールではなく夜ユーザーが寝てる間にソフトウェアをバージョンアップして対応する等、今までの常識では考えられない話がわんさと出てくる。それだけ数多くのブレイクスルーを実現するからこそ、これだけ注目と資金が集まるのだろう。
3.
センスが良い人というのは天性的なもので、今センスが良くない人が頑張ってセンスという能力を大きく飛躍させるなんて無理と勝手に思っていた。しかし、それは間違いで、「センス」に占める感覚的な、インスピレーション的な役割は実はほんのごく一部で、それよりもっと大事なのは既存の知識をいかに沢山蓄えているかということだった。「クリエティブディレクター」という職種の著者の仕事は、知識の集積から論理的思考によって設計や選択をしていた。それはつまり、「何故そうしたのか」の理由や思考プロセスを明確に説明できるということである。生まれ持っての感覚に頼った判断であれば、説明することができない。日々、いろんなものに興味を持って視野を広げることがいかに大事かよくわかる。
・・・ということで6月は計3冊。思ってたより全然少なかった。
仕事関係の本で、必要な部分だけピックアップして読んだ書籍は対象外にしている。
あくまで通読したもののみ。読みかけの本も何冊かあるので、7月中に区切りをつけておきたい。
今月最も面白かったのは、「史上最強のCEO イーロン・マスクの戦い」。
2018年5月に読んだ本
2018年5月に読んだ本
1.
トコトンやさしいサーボ機構の本 (今日からモノ知りシリーズ)
- 作者: 横田川昌浩,秋葉浩良,中島秀人,西田麻美,Net-P.E.Jp
- 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
- 発売日: 2016/10/28
- メディア: 単行本
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本書ではサーボ機構が次のように定義されている。
「指令通りの想定した動作を、繰り返し高速・高精度で実現するシステム」
それらを構成する各機器(モータ、センサ、アンプ、コントローラ)についてと、基礎的な物理や制御理論の概要が述べられている。サーボモータの選定と制御理論の部分がなかなか難解だった。トコトンやさしいシリーズの中でも難しい方だと思う。
全体の雰囲気を掴めたら、各論は別の専門書に進んでいくのがよい。
2.
世界一受けたいお金の授業: 一生お金に困らない「稼ぐ、使う、貯める」技術 (知的生きかた文庫)
- 作者: 和仁達也
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2013/11/22
- メディア: 文庫
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Audibleでオーディオブックとして聴いた。ブロックパズルとかグラフが多く出てくるけどいずれも参照できないのは残念。オーディオブックにあまり向いていない・・。難しい決算書の読み方も5つの項目を抜き出すだけでかなりの精度で読み解くことができるのは目から鱗。
3.
仕事の「生産性」はドイツ人に学べ 「効率」が上がる、「休日」が増える
- 作者: 隅田貫
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/09/28
- メディア: 単行本
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Audibleでオーディオブックとして聴いた。印象に残ったのは2つ。ドイツのクリスマスは華やかなイルミネーションで街に人が溢れるのは直前で、当日は皆が家族と家で過ごす為に街はひっそりとする。もう一つは、静かに過ごす時間が法律で決められていて日常の生活の作業も制限を受ける。そのことが逆に時間のメリハリとなって恩恵を与えている面もある。
ドイツと日本はGDPランキングもお隣で、共に戦後復興を遂げた国と共通項は多いけど、やはり地理的・民族的に異なるために生活様式の違いも大きい。無作為に外国礼賛する必要はないが、良いなと思う部分は素直に取り入れたい。自分の仕事への誇りの持ち方とか、普段の生活に散歩を組み込んで上手にリフレッシュすることとか。
4.
ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学 (幻冬舎新書)
- 作者: 島田紳助
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/05
- メディア: 新書
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内容は面白いけどタイトルで損している。島田紳助さんの本は今回が初めてだった。漫才師として大成した理由に、先輩芸人の漫才をノートに一字一句書き写して人がどこで笑うのか研究したといった若手時代の裏話も少し紹介されているが、本書は氏が手がけたタレント業以外のサイド・ビジネスがメインだ。25年間一度もビジネスで失敗していないというのはすごい。どの時点で手離れするかにも依るけども。
日々の生活や仲間との交流の中で、新たなビジネスの種を探す嗅覚と、色んな計算や調査をして実行に値するかどうか判断する能力が凄いと思った。西宮のビル1棟をオモチャ箱にしてしまった不動産業社長の話は面白かった。ネットで検索したが見つけられず。
・・・ということで5月は以上の計4冊。ちょっと少なめだった。
「思考は現実化する」と、アシュリー・バンス著の「イーロン・マスク」の2冊を時間をかけて読んでいるのと、ドラクエ11で遊びまくったのが少ない要因。MVPは今月該当なし。
2018年4月に読んだ本
2018年4月に読んだ本
1.
ウォーレン・バフェット 成功の名語録 世界が尊敬する実業家、103の言葉 (PHPビジネス新書)
- 作者: 桑原晃弥
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2012/07/11
- メディア: Kindle版
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いくつか印象に残った事項を挙げておく。
・まずまずの企業をすばらしい価格で買うより、すばらしい企業をまずまずの価格で買うことの方が遥かに良い
・10年経った時、どんなアプリケーションソフトメーカーよりアイスクリーム企業の方が生き残っている可能性が高い
・失敗した場合でもその経緯を説明できるようにしておく。つまり、自分が完全に理解できることしかしない
・『なぜ自分は現在の価格でこの会社を買収するのか』という題で一本の小論文を書けないようなら、100株を買うこともやめたほうがいい
・ベン・グレアムを知る人は多いのに、彼の理論を実行に移す人は少ない。どうしてでしょうね
結局、ウォーレン・バフェットの成功の要諦とは、
道を逸れずに理論や築き上げた信念に忠実であり続けること、なのかなと感じた。
本書ではしばしば対比としてウォール街が登場するが、トッププレイヤーや実践手法が時代で移ろい、情報が目まぐるしく飛び交うのではなく、オマハの環境やバフェット氏の投資理論はずっとベン・グレアムに学んだことを実践し続けている。長い投資人生の中で、最初に学んだ理論に自分なりのアレンジを加えたり、参考にできない部分は一部取捨選択することなどはあるが、原型が壊れるほどの改変はなく、核となる投資理論は不変である。
ただ、変えないだけでなく、それを実践し続けるには周囲のノイズに惑わされない強い信念が不可欠である。膨大な読書と師と仰ぐ人物と共に実際に働いた経験がそれ養成したのだろう。
確固たる理論を学ぶ、もしくは形成することと、それを実行し続ける勇気を学んだ。
2.
お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力・・・・・・はこう「動いた」
- 作者: 大村大次郎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2015/12/11
- メディア: 単行本
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Audibleで行き帰りの通勤時に車で聴いた。確かに著者の言う通り、お金の流れから世界史を見てみると、それまではスポットライトの当たることが少なかった出来事や通説とされている事件の裏側、なぜその通説が起きるに至ったかを垣間見ることができて面白かった。古代エジプトが栄えたのは国の徴税システムが優れていたからでそこから派生して生まれたのがユークリッド幾何学であるという話や、最近小学館で何かと話題になったチンギス・カンがモンゴル帝国を破竹の勢いで拡大できた経済・宗教的背景や、エリザベス1世が海賊を利用して国に富を蓄えたとされる裏話など興味深い歴史史実の断片を知れた。
また、ブレトン=ウッズ体制、ひとつの国の通貨を世界基準とすることの本質的な矛盾などについても詳説されており、単なる歴史本としではなく経済を学ぶ上でも参考になると思った。
3.
変更工事と仮使用の組み合わせパターンの例の掲載が非常に参考になった。一つの工事において、先に完成した部分の完成検査を受け仮使用とする部分を拡張していく申請の方法など、そんなやり方も考えてよいのか!と目から鱗だった。当然、あまりにトリッキーなことをする場合は、所轄の消防と事前相談や確認を十分行って合意を得ておく必要はあるが、考え方の提示の部分で大いに役立った。また、東京消防庁監修ということで内容には一定の信頼もある。
4.
現時点までの「ロボット」という技術、概念、機器について非常に網羅的に述べられている。工場の生産ラインで活躍する産業用ロボット、PepperやAIBOなどコミュニケーションロボット、それから農機や建設機械といった重機系ロボット等広い範囲での成り立ちや最新の動向がこれ1冊で伺い知ることができる。さらに駆動系やセンサも主だったものは概要をさっと知ることができるので本当に買って良かったと思う。
世界の4大メーカーに日本の会社が2社含まれているのは誇らしい。しかし、産業用以外では海外勢の後塵を拝している状況もよくわかった。生産人口が減っていくこれからの日本では、今まで以上により上手にロボットを活用、育てていくことが必須。
包摂アーキテクチャ、深海探査ロボット「うらしま」、バイオミメティクスは今回この本ではじめて知った。
5.
この本の購入を検討している方はまず、著者が定義する「化学災害」の意味の正しく理解しておく必要がある。この本が指す化学災害とは、コンビナートや化学プラントといった大規模な工場で聞き馴染みのない危険物が引き起こす事故だけではなく、もっと広く例えば住宅街に隣接する小さな町工場で起きる火災や、場合によっては普通の一般住宅の火災までを含む。
日々の生活の中で危険物などには触れない一般市民でも、例えば糸魚川の大火災や韓国のガス自殺未遂など予期せぬ化学災害に巻き込まれる可能性はあり、それらを自衛・被害を最小に抑えるためにどうすべきか、ということを示唆する。なので対象読者は非常に幅広い。一方で、危険物や高圧ガスを扱う仕事をしていて、ピンポイントで業務に役立つ災害予防の知識を求める方には肩透かしとなる。
掲載されている数値データの出典が都度本文中に示されているのは良かった。全国に危険物施設がコンビニの店舗数の7.6倍もあるというのは非常に驚いた。それから、化学防災のハザードマップが住民が自助で作成せよ、との提言はおったまげた。
6.
図書館で目に付いたので一気に読んだ。だけどなぜエリザベートが現代においてなお人気があるのかよく分からなかった。夫で皇帝でもあるフランツ・ヨーゼフが不憫でならない。人は誰しも、身分の貴賎を問わず天から与えられた役割があるが、エリザベートはとうとう最期までそれを実行することはなかった。
文通での「まだかくれんぼうを続けるつもりですか。もう戯れは終わりにしましょう」の余韻がずっと心に残った。
7.
198Xメモリーズ、ミニ四駆、コロコロ創刊伝説を読んだ。創刊伝説は一挙2話掲載でひかわ博一氏の「星のカービィ」の秘話回だった。しんぼ氏の元アシスタントで、自身はハゲ丸の連載終了以降次のヒットが出ずに、生活的にも困窮していくなか、元弟子のひかわ氏がカービィを大ヒットさせて当時のコロコロの稼ぎ頭になっていく対比は平家物語的な悲しさがある。ひかわ氏に借金を申し込んだところとか、人間的にふつうは人に見せたくない弱い部分も漫画にしてオープンにできる態度は凄いと思う。時間薬も当然あるかもだけど。
それはさておき、ヤマザキの連載もう終わったのかな?ずっと待ってるんだけど・・。
8.
Audibleでオーディオブックとして聞いた。風俗産業ではたらく若い女性への丹念な取材から浮かび上がった実態、風俗を選んだ理由のルポ。やはり多いのはお金を稼ぐ必要に迫られてのことだが、日本学生支援機構の奨学金返済に苦しむ大学生がいかに多いかということに驚かされた。時給1,000円前後のアルバイトだと多大な時間を吸い取られ肝心の勉学に励む時間が残らない、苦慮した末に出した結論が風俗だった、という仕方なく一時的にはたらく女性が多かった。その他、成人の女性や男子学生、単純に風俗産業に興味があったという女子大生や、家族に満たされなかった自己承認欲求を癒やすために風俗ではたらく人なんかも登場する。
現在、風俗は応募者が非常に多く、身だしなみが悪いと面接にパスできないというのがこの本でいちばんの驚きだった。
9.
全体の頁数は約130とそれほどボリュームがある訳ではないが、触れられている範囲が太陽系の天体それぞれからアメリカとソ連、日本の宇宙開発の歴史など幅広いのと、カラー写真が豊富に掲載されているので読み応えはある。基礎の全体をまず俯瞰したかったのでちょうど良い本に出会えれた。
惑星探索機ニューホライズンズが冥王星の観察を後にして次なる目的地エッジワース・カイパーベルトに向かっているという話と、みずがめ座近傍の赤色矮星トラピスト1にハビタブルゾーンに入る岩石惑星が3つもあるというのはまだまだ知らない未知の宇宙の姿に素直にワクワクする。宇宙の途方もない大きさと、地球という星を飛び出して観測、採取を行なおうとする人間の技術力に得も言われぬ感情になる。自分が生きている間にさらにもっとたくさんの発見が観測によって成されることを期待する。
・・・ということで4月は以上の計9冊。(内2冊がオーディオブック)
今月のMVPはウォーレンバフェット成功の名語録。バフェット本はどれも外れがない。
ウォール街から遠く離れたオマハで継続して投資で成功・成長を続ける賢人の言葉には誰しもが耳を傾けなければならない。
ソロモン・ブラザーズの会長就任時に立て直しのためにどのような施策を行ったかということをもっと知りたいと思った。