ニャースのかきくけこ

ニャースはアニメ、ゲーム界のベンジャミン・フランクリン。

2018年5月に読んだ本

2018年5月に読んだ本

 

1.

トコトンやさしいサーボ機構の本 (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしいサーボ機構の本 (今日からモノ知りシリーズ)

 

本書ではサーボ機構が次のように定義されている。
「指令通りの想定した動作を、繰り返し高速・高精度で実現するシステム」
それらを構成する各機器(モータ、センサ、アンプ、コントローラ)についてと、基礎的な物理や制御理論の概要が述べられている。サーボモータの選定と制御理論の部分がなかなか難解だった。トコトンやさしいシリーズの中でも難しい方だと思う。
全体の雰囲気を掴めたら、各論は別の専門書に進んでいくのがよい。

 

 

2.

Audibleでオーディオブックとして聴いた。ブロックパズルとかグラフが多く出てくるけどいずれも参照できないのは残念。オーディオブックにあまり向いていない・・。難しい決算書の読み方も5つの項目を抜き出すだけでかなりの精度で読み解くことができるのは目から鱗

 

 

3.

Audibleでオーディオブックとして聴いた。印象に残ったのは2つ。ドイツのクリスマスは華やかなイルミネーションで街に人が溢れるのは直前で、当日は皆が家族と家で過ごす為に街はひっそりとする。もう一つは、静かに過ごす時間が法律で決められていて日常の生活の作業も制限を受ける。そのことが逆に時間のメリハリとなって恩恵を与えている面もある。
ドイツと日本はGDPランキングもお隣で、共に戦後復興を遂げた国と共通項は多いけど、やはり地理的・民族的に異なるために生活様式の違いも大きい。無作為に外国礼賛する必要はないが、良いなと思う部分は素直に取り入れたい。自分の仕事への誇りの持ち方とか、普段の生活に散歩を組み込んで上手にリフレッシュすることとか。 

 

 

4.

 

内容は面白いけどタイトルで損している。島田紳助さんの本は今回が初めてだった。漫才師として大成した理由に、先輩芸人の漫才をノートに一字一句書き写して人がどこで笑うのか研究したといった若手時代の裏話も少し紹介されているが、本書は氏が手がけたタレント業以外のサイド・ビジネスがメインだ。25年間一度もビジネスで失敗していないというのはすごい。どの時点で手離れするかにも依るけども。
日々の生活や仲間との交流の中で、新たなビジネスの種を探す嗅覚と、色んな計算や調査をして実行に値するかどうか判断する能力が凄いと思った。西宮のビル1棟をオモチャ箱にしてしまった不動産業社長の話は面白かった。ネットで検索したが見つけられず。

 

・・・ということで5月は以上の計4冊。ちょっと少なめだった。

「思考は現実化する」と、アシュリー・バンス著の「イーロン・マスク」の2冊を時間をかけて読んでいるのと、ドラクエ11で遊びまくったのが少ない要因。MVPは今月該当なし。

2018年4月に読んだ本

2018年4月に読んだ本

 

1.

いくつか印象に残った事項を挙げておく。
・まずまずの企業をすばらしい価格で買うより、すばらしい企業をまずまずの価格で買うことの方が遥かに良い
・10年経った時、どんなアプリケーションソフトメーカーよりアイスクリーム企業の方が生き残っている可能性が高い
・失敗した場合でもその経緯を説明できるようにしておく。つまり、自分が完全に理解できることしかしない
・『なぜ自分は現在の価格でこの会社を買収するのか』という題で一本の小論文を書けないようなら、100株を買うこともやめたほうがいい
・ベン・グレアムを知る人は多いのに、彼の理論を実行に移す人は少ない。どうしてでしょうね
結局、ウォーレン・バフェットの成功の要諦とは、
道を逸れずに理論や築き上げた信念に忠実であり続けること、なのかなと感じた。
本書ではしばしば対比としてウォール街が登場するが、トッププレイヤーや実践手法が時代で移ろい、情報が目まぐるしく飛び交うのではなく、オマハの環境やバフェット氏の投資理論はずっとベン・グレアムに学んだことを実践し続けている。長い投資人生の中で、最初に学んだ理論に自分なりのアレンジを加えたり、参考にできない部分は一部取捨選択することなどはあるが、原型が壊れるほどの改変はなく、核となる投資理論は不変である。
ただ、変えないだけでなく、それを実践し続けるには周囲のノイズに惑わされない強い信念が不可欠である。膨大な読書と師と仰ぐ人物と共に実際に働いた経験がそれ養成したのだろう。
確固たる理論を学ぶ、もしくは形成することと、それを実行し続ける勇気を学んだ。

 

 

2.

Audibleで行き帰りの通勤時に車で聴いた。確かに著者の言う通り、お金の流れから世界史を見てみると、それまではスポットライトの当たることが少なかった出来事や通説とされている事件の裏側、なぜその通説が起きるに至ったかを垣間見ることができて面白かった。古代エジプトが栄えたのは国の徴税システムが優れていたからでそこから派生して生まれたのがユークリッド幾何学であるという話や、最近小学館で何かと話題になったチンギス・カンモンゴル帝国を破竹の勢いで拡大できた経済・宗教的背景や、エリザベス1世が海賊を利用して国に富を蓄えたとされる裏話など興味深い歴史史実の断片を知れた。
また、ブレトン=ウッズ体制、ひとつの国の通貨を世界基準とすることの本質的な矛盾などについても詳説されており、単なる歴史本としではなく経済を学ぶ上でも参考になると思った。

 

 

3.

図解 危険物施設基準の早わかり〈1〉

図解 危険物施設基準の早わかり〈1〉

 

変更工事と仮使用の組み合わせパターンの例の掲載が非常に参考になった。一つの工事において、先に完成した部分の完成検査を受け仮使用とする部分を拡張していく申請の方法など、そんなやり方も考えてよいのか!と目から鱗だった。当然、あまりにトリッキーなことをする場合は、所轄の消防と事前相談や確認を十分行って合意を得ておく必要はあるが、考え方の提示の部分で大いに役立った。また、東京消防庁監修ということで内容には一定の信頼もある。 

 

 

4.

現時点までの「ロボット」という技術、概念、機器について非常に網羅的に述べられている。工場の生産ラインで活躍する産業用ロボット、PepperやAIBOなどコミュニケーションロボット、それから農機や建設機械といった重機系ロボット等広い範囲での成り立ちや最新の動向がこれ1冊で伺い知ることができる。さらに駆動系やセンサも主だったものは概要をさっと知ることができるので本当に買って良かったと思う。
世界の4大メーカーに日本の会社が2社含まれているのは誇らしい。しかし、産業用以外では海外勢の後塵を拝している状況もよくわかった。生産人口が減っていくこれからの日本では、今まで以上により上手にロボットを活用、育てていくことが必須。
包摂アーキテクチャ、深海探査ロボット「うらしま」、バイオミメティクスは今回この本ではじめて知った。

 

 

5.

化学防災読本: 化学災害からどう身を守るか (プロブレムQ&A)

化学防災読本: 化学災害からどう身を守るか (プロブレムQ&A)

 

この本の購入を検討している方はまず、著者が定義する「化学災害」の意味の正しく理解しておく必要がある。この本が指す化学災害とは、コンビナートや化学プラントといった大規模な工場で聞き馴染みのない危険物が引き起こす事故だけではなく、もっと広く例えば住宅街に隣接する小さな町工場で起きる火災や、場合によっては普通の一般住宅の火災までを含む。
日々の生活の中で危険物などには触れない一般市民でも、例えば糸魚川の大火災や韓国のガス自殺未遂など予期せぬ化学災害に巻き込まれる可能性はあり、それらを自衛・被害を最小に抑えるためにどうすべきか、ということを示唆する。なので対象読者は非常に幅広い。一方で、危険物や高圧ガスを扱う仕事をしていて、ピンポイントで業務に役立つ災害予防の知識を求める方には肩透かしとなる。
掲載されている数値データの出典が都度本文中に示されているのは良かった。全国に危険物施設がコンビニの店舗数の7.6倍もあるというのは非常に驚いた。それから、化学防災のハザードマップが住民が自助で作成せよ、との提言はおったまげた。

 

 

6.

エリザベート (ビジュアル選書)

エリザベート (ビジュアル選書)

 

図書館で目に付いたので一気に読んだ。だけどなぜエリザベートが現代においてなお人気があるのかよく分からなかった。夫で皇帝でもあるフランツ・ヨーゼフが不憫でならない。人は誰しも、身分の貴賎を問わず天から与えられた役割があるが、エリザベートはとうとう最期までそれを実行することはなかった。
文通での「まだかくれんぼうを続けるつもりですか。もう戯れは終わりにしましょう」の余韻がずっと心に残った。 

 

 

7.

198Xメモリーズ、ミニ四駆、コロコロ創刊伝説を読んだ。創刊伝説は一挙2話掲載でひかわ博一氏の「星のカービィ」の秘話回だった。しんぼ氏の元アシスタントで、自身はハゲ丸の連載終了以降次のヒットが出ずに、生活的にも困窮していくなか、元弟子のひかわ氏がカービィを大ヒットさせて当時のコロコロの稼ぎ頭になっていく対比は平家物語的な悲しさがある。ひかわ氏に借金を申し込んだところとか、人間的にふつうは人に見せたくない弱い部分も漫画にしてオープンにできる態度は凄いと思う。時間薬も当然あるかもだけど。
それはさておき、ヤマザキの連載もう終わったのかな?ずっと待ってるんだけど・・。

 

 

8.

女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル (朝日新書)
 

Audibleでオーディオブックとして聞いた。風俗産業ではたらく若い女性への丹念な取材から浮かび上がった実態、風俗を選んだ理由のルポ。やはり多いのはお金を稼ぐ必要に迫られてのことだが、日本学生支援機構奨学金返済に苦しむ大学生がいかに多いかということに驚かされた。時給1,000円前後のアルバイトだと多大な時間を吸い取られ肝心の勉学に励む時間が残らない、苦慮した末に出した結論が風俗だった、という仕方なく一時的にはたらく女性が多かった。その他、成人の女性や男子学生、単純に風俗産業に興味があったという女子大生や、家族に満たされなかった自己承認欲求を癒やすために風俗ではたらく人なんかも登場する。
現在、風俗は応募者が非常に多く、身だしなみが悪いと面接にパスできないというのがこの本でいちばんの驚きだった。

 

9.

決定版 宇宙がまるごとわかる本

決定版 宇宙がまるごとわかる本

 

全体の頁数は約130とそれほどボリュームがある訳ではないが、触れられている範囲が太陽系の天体それぞれからアメリカとソ連、日本の宇宙開発の歴史など幅広いのと、カラー写真が豊富に掲載されているので読み応えはある。基礎の全体をまず俯瞰したかったのでちょうど良い本に出会えれた。
惑星探索機ニューホライズンズが冥王星の観察を後にして次なる目的地エッジワース・カイパーベルトに向かっているという話と、みずがめ座近傍の赤色矮星トラピスト1にハビタブルゾーンに入る岩石惑星が3つもあるというのはまだまだ知らない未知の宇宙の姿に素直にワクワクする。宇宙の途方もない大きさと、地球という星を飛び出して観測、採取を行なおうとする人間の技術力に得も言われぬ感情になる。自分が生きている間にさらにもっとたくさんの発見が観測によって成されることを期待する。

 

 

・・・ということで4月は以上の計9冊。(内2冊がオーディオブック)

今月のMVPはウォーレンバフェット成功の名語録。バフェット本はどれも外れがない。

ウォール街から遠く離れたオマハで継続して投資で成功・成長を続ける賢人の言葉には誰しもが耳を傾けなければならない。

ソロモン・ブラザーズの会長就任時に立て直しのためにどのような施策を行ったかということをもっと知りたいと思った。

2018年3月に読んだ本

2018年3月に読んだ本

 

1.

ヒトラーの秘密図書館

ヒトラーの秘密図書館

 

ヒトラーは読書家だった。少なくとも一晩に一冊、ときにはそれ以上の本を読んだという。彼は16,000冊以上の本を所有していた。」学歴コンプレックスを解消するために貪るように、真剣に書物に向き合ったヒトラーの蔵書は戦後の混乱の中で大半は散逸して所在不明である。著者は、アメリカ議会図書館ブラウン大学で保存されている1,300冊を紐解き、さらにその中からヒトラーが確実に読んで参考にしたと確定的に思われる10冊について紹介している。単純な本の内容紹介ではまったくなく、ヒトラーが人生、あるいは政治のどの時期に読んで、そしてそこから何を得たかということが膨大な資料の精査、関係者のインタビューから浮き彫りになってくる。情報のソースも巻末に一覧で示されており、学術的価値も非常に高い。深夜、「静粛に!」の札を掲げてドイツの将来をひたむきに考慮するヒトラーの姿が脳裏に浮かんでくる。

 

 

2.

シェイクスピア全集 (1) ハムレット (ちくま文庫)

シェイクスピア全集 (1) ハムレット (ちくま文庫)

 

悲劇ということで主要人物がばたばたと死んでいくが、ロミオとジュリエットほど死ぬ因果が理解できなかった。周囲の巻き込まれた人までが命を落とす理由が不十分に感じた。もうひとつは、行動が停滞する局面と、鮮やかな決断力とスピードで進行する場面の違いがどこからくるのかということが不思議だった。劇の脚本を改変して演じさせたり、イギリス王への手紙の差し替えなんかは非常に見事な流れでできてしまうハムレットなのに、気違いを演じているとはいえ、屁理屈をこねたり、見方によっては周囲へのただのやつあたりにしか思えないことをして行動が進まない時があって、そのもどかしさが何故生じているかがよくわからなかった。自分の読解力が成長したら、またいつか未来に読んでみよう・・。

 

 

3.

[オーディオブックCD] デリヘルの経済学 (<CD>) (<CD>)

[オーディオブックCD] デリヘルの経済学 () ()

 

Audibleでオーディオブックとしての読書。1.5倍速で2回続けて聴いた。98年の風営法改正以降、急成長したデリヘルという風俗業態。その経済規模の他を圧倒する大きさに驚く。店舗型とは違い開業資金も少なく済むため、一時は雨後の筍の如く無数の店がオープンしたがその内のほとんどは1年を待たずして閉店した。生き残った店と潰れた店の違いがどこから来たかについて論じた本。デリヘル(というか風俗産業)ほどダイレクトに客からの反応を貰う商売は確かにないと思う。結局は、風俗産業と言えども、業界で生き残っていくためには顧客からの支持を得なければならない。そしてそれを実現するためには、Web(デリヘルの場合これが店舗、看板にも相当)のユーザビリティも高くし、働く女性のケア・教育をし、性病などのリスク管理をきちんと行うといった当然といえば当然のことを、いかに的確に実行できているか、ということに尽きるのだ。

 

 

4.

田中角栄 心をつかむ3分間スピーチ

田中角栄 心をつかむ3分間スピーチ

 

Audibleでオーディオブックとして聴いた。田中角栄氏のスピーチ部分で、わざわざ声色を変えて、というかダミ声のような悪声までマネようとする必要は別にないと思った。「雪は資源になりえる」という主張には驚いた。勢いだけで聴衆の心を捉えていたのではなく、言説を裏付ける独自に入手した情報や数字による根拠もしっかりと持っていた。そのことが心を掴むスピーチとあいまって人々を心酔させることができた。冠婚葬祭の中で、とくに葬儀については決して義を怠らなかった、多忙を極めている中でヘリで移動した話などは考え方として大変勉強になった。

 

 

5.

いま日本人に読ませたい「戦前の教科書」
 

大正期から昭和15年まで尋常小学校で使われた国語の教科書の素晴らしさを紹介する本。具体的には、大正7年(1918年)から使われたハナハト読本と、昭和8年(1933年)から太平洋戦争の開戦まで使われたサクラ読本についてだ。どちらも全12冊で、当時の小学生は1年間に2冊ずつ勉強していた。小学校における国語の授業の比率が全体の半分近くを占めたという現代との違いにも驚くが、なにより衝撃だったのは、この当時の教科書が単純に「おもしろい」こと。今、大人の私が読んでも普通に読み物としておもしろい。扱われている題材は非常に幅広く、日本の偉人は当然のこととしてダーウィンナイチンゲール第一次世界大戦でのロシアの将校、古代ローマの王など広く世界に目を向けていた。豊かな情操教育とともに、科学や歴史の勉強にもなっていたのだと思う。曽我兄弟や鉢の木の話は知らなかった自分を恥じた。もっと勉強したいと思った。昔の小学校6年の義務教育過程の勉強を・・・。

 

 

6.

これだけ!油圧・空気圧 (これだけ!シリーズ)

これだけ!油圧・空気圧 (これだけ!シリーズ)

 

買ってから1年近く本棚で眠っていたがひょんなことから掘り出し読み始めた。新幹線こだま車内で読了。油圧の知識は直接的には必要になる機会がないけど、ついでということで全章読んだ。やはり似通った部分が多くある一方、気体の方は圧縮状態も考慮しなければならないなど違いについてもよくわかる。空気圧のメーターイン/メーターアウト制御の違いや5ポート電磁弁についてなど今回理解をさらに深めることができた。
ところで、表紙の食パンはなんだろう?背表紙は焼いた後だけど・・・。トーストするくらい短い時間でお手軽に、概要を学ぶことができるという本シリーズのアピールポイントを象徴して表しているのかな?

 

 

7.

絶対に行けない世界の非公開区域99 ガザの地下トンネルから女王の寝室まで

絶対に行けない世界の非公開区域99 ガザの地下トンネルから女王の寝室まで

 

一般には公開されない秘密の場所とはどんなところか?と気になったので読んでみた。テキサス州の法医人類学研究施設(死体農場)、コカ・コーラのレシピ保管庫、アララト山上の奇妙な物体(ノアの箱舟説)など興味を惹かれたところはいくつかあった。
ミステリー的な世界のスポットを知りたいと思っていたが、本書には政治、軍事、宗教関連の場所が多く掲載されている。軍事施設などは公開されないのはいわば当然であって、機密を守るためにどこの国であっても少なからず公開を制限される部分はある。

 好むと好まざるとにかかわらず、秘密や秘密主義は私たちの社会の基本要素だ。
 つまりは実際問題として、世界の大部分は一般大衆にとって立ち入り禁止の場所なのである。

著者は本書のはじめにこのように宣言していて、これは確かにそうだ。例えば自分が所属する会社を考えてみても、外部にオープンにできる部分というのは非常に限定的で、情報のほとんどはその会社に所属する人しかアクセスできないし、また会社に入ることすらできない。また、では会社の一員でさえあればその会社に関してすべて知ることができるか言えば当然そうではなく、情報の公開は層別に行われるので経営情報などは大部分の社員には知る術もない。
そういった意味での秘密・機密は日常に溢れているので、本書ではそのようなあたり前のものは省いて、もっと公的な場所であるにも関わらずなんらかの理由で制限された場所というようなものを多く紹介してほしかった。要するに、研究所やデータセンターなどはいらないのでは、ということだ。

また、少し話は変わるが、本書は原著『100 Places You Will Never Visit: The World's Most Secret Locations』の訳書である。タイトルが示す通り、原著では100箇所紹介されているが、なぜか日本版でひとつ消されて99となっている。
消えたのはどこか?
それは日本の福島原発だ。日本は伊勢神宮1箇所しか掲載されていないが、原著ではこれに加え福島原発があった。日本語訳版出版にあたり、収録されなかった理由は一切の説明もされておらず、不明である。このような扱いの方が私がもともと求めていたミステリー的な、人為的な情報公開の制限である。

 

・・・ということで3月は計7冊の読書(内2冊はオーディオブック)。

とりあえず今はAudibleのお試し無料会員だけど、通勤時に今後も活躍してくれそう

なのでそのまま正規会員になろうと思う。月額1500円。

今月最も印象に残った本はヒトラーの秘密図書館。読書の効能、本が持つ偉大な力を痛感させられた。本によって変わる、本によって学ぶとは常に建設的な良い結果をもたらすのではなく、手にとって本次第でそれは破滅的な結末をもたらすこともある。

良くも悪くも本にはそれだけの力がある、というのがまず第一のこの本からの学びだった。世界史の数多ある本の中でも異色の切り口であるので、今後もこの本は手元に置いておこう。ヴァルター・ベンヤミンの「人が本を保管しているのではなく、蔵書によってその人自身が保存されている」という言葉も印象に残った。

*↑原文ママではない。